心理学用語として知られるようになった「モラトリアム」。もともとの意味は、「経済において支払い猶予期間、債務の支払いを延期すること」を指しています。それを青年期である高校から大学生の間にこれからの自分がどうなるのか、なかなか結論が出せないまま目的もなく過ごしてしまう、そういう期間のことを「心理・社会的な猶予期間」として使用されるようになりました。
子どもから大人に成長する過程で、自分自身の希望が高すぎて現在の社会になかなか馴染めず、
「自分にはもっと適した仕事があるはずだ」と考え始めます。
だから定職にも就かず学校にも行かず人との関わりを避け、自分の夢ばかり追いかけて実世界から遠退いてしまい、知らずに不登校になりはじめます。
「モラトリアム」は悪いことなのでしょうか。
それは違います。
私自身その年代にモラトリアム期間を通過し、この時期はとても貴重かつ贅沢な時間だったと40代になった今は強く感じています。
ですが周りから、特に親御様からすると、自分の子どもは社会不適合なのだろうか。
などという心配が上がってきてもおかしくはありません。
ではどのようにしてモラトリアム期間と付き合い、社会と交わることができるよう道を作っていくことができるかお伝えしたいと思います。
モラトリアム期間と逃げは違うことをお互いが認識する
今の親御様がそれなりに年を重ね社会に出て大分経ってしまうと、
社会へ出ること、つまり定職に付き働くことの責任の重さに慣れてしまい、
それを当たり前と感じてしまって自身もかつてモラトリアム期間があったことを忘れがちになります。
モラトリアム期間を体験した子どもは
上昇意識が高く、社会に強く貢献したい気持ちと周りの友達との意識に差があり、徐々に人との関わりを避けてしまっているのです。
これは
「逃げ」
ではなく自分の中で
「大人」
になるための「考える大切な時期」なのです。
それを既に大人になってしまった私たちがいろいろと口出して解決することではないのです。
ですが、お子様がお自分自身の思う道に進めるよう、親御様がサポートすることは必要です。
しかし直接親御様が先回りしてあれこれ言ってしまうと、お子様はなかなか聞いてくれないことがあります。
勉強でもピアノのレッスンの指導でもよくありますが、親しいほど甘えが出てしまいがちです。
そういう場合は第三者の力を借りることをおすすめ致します。
第三者の力を借りる方法として、カウンセリングのサイトがありあます。
質問できたり地域でサポートしてくれる団体などを紹介してくれる、カウンセリングのサイトもあります
不登校イコールモラトリアムとは限らない
始めにもお伝えしたとおり、不登校であるからモラトリアムが起こるとは限りません。
特にモラトリアム期間が大きく現れやすいのは大学生の時期で、将来自分が思い描いていた働き方ができないことを目の当たりにした時に起こりやすいのです。
ですが、不登校のお子様にもモラトリアムが多くみられます。
意識が高いため学校へ通うことが嫌なのではなく、
自分自身がどうありたいかということを既に考え始めていて、学校へ通う意味があるのかどうか・・・
と自問自答してしまって不登校になる。これこそモラトリウムなのです。
親御様にとっては順当に社会に適応することを望み当たり前と思ってしまっている部分がありますが、きっとご自身も思春期に悩んでいたはずです。
その時のことを是非思い出してください。大人になるためのステップの一つであることを理解してください。
モラトリアム期間を大切にし「大人」になることをどちらもが受け入れる
「モラトリアム期間」は確かに贅沢な時間だと思います。
働きもせず、自分のためだけに時間を費やす大人に限りなく近い子どもの状態です
しかしその貴重な時間を体験することでお子様は大きく成長を遂げ、大人への第一歩を進み始めていることを、お子様、親御様双方とも理解し受け入れることが大切です。
学生時代から大人へ変化する時期はとても大切なのです。その大切な時期をシェアすることで不安も解消されると、体験した者として強く思っておりますのでしっかり話し合うことを大切にしてください。